
碧湖から世界へー「ファンクラブ」と王文志の芸術の旅
- 王 文志|國際藝術團隊

- 2025年4月7日
- 読了時間: 5分
「作品を通じて友達をつくる」
この言葉が王文志の芸術を最も上手く表現しているかもしれない。
王の作品は人を引きつけ、人をただの鑑賞者としてだけでなく、気づけば「芸術を共にする仲間」に変える。そして仲間たちは、時間の流れの中で作品、王文志、制作チームと共に一つ一つの作品の誕生と終わりを見届けてきた。
芸術は、つながりの始まりである。
2014年、王文志はここで『碧湖織屋』(Bihu Weaving House)を制作した。
賑やかな台北の街の中で、碧湖公園は貴重な緑地と湖を持つ。
そよ風が湖を揺らし、湖面にきらめく光が反射し、竹で編まれた聖殿がその姿を映し出し、緑や湖の輝き、虫や鳥のさえずりの中に身を投じていると、まるで時間も足を止め、ゆっくりと流れているようだ。
『碧湖織屋』が完成した後、恵美という女性は友人の紹介で王文志と知り合い、さらに、たまたま作品の前を通りかかったTammyも、ちょうど作品のある場所をとても気に入っていた。二人は小学校の同級生で、観賞した共通の芸術家の話に花を咲かせるようになった。
やがて、二人に仲間も加わり、時折会っては作品を見に行くようになると、「王文志ファンクラブ」というライングループを結成した。
面白いことに、ファンクラブの仲間の何人かが同い年生まれの「亥年(台湾では豚年)」だったので、いつも自分たちのことを冗談交じりに「豚仲間」と呼び、その話題が出るたびに大笑いした。
「王先生は芸術家を手の届かない存在と思わせない。本当に気取らない人だから、みんなが友達になれる。一緒に食べたり飲んだり遊んだりして旅行ができて、本当に楽しい。」と仲間たちはいつも話す。
時が経ち、心の通う仲間がますます増えてファンクラブに加わるようになると、彼らは王文志の作品を国内だけに収まらず、国を越えて追いかけるようになった。2022年の日本・瀬戸内国際芸術祭の『歸靈』(Zero)、2023年のタイ・チェンライ美術館の『方外之境』(Beyond the Site)、そして2024年の日本・和歌山の『閃耀之丘』(きらめく丘)まで足を運んだ。
王文志の作品が公開されるたび、彼らは現場に駆けつけてお祝いし声援を送った。それは他にはない温もりと情熱を作品にふり注いだ。
この絆は、あたかも竹に巻きついたツタのように、時間とともに広がり続けている。
温かい応援―「イラストステッカー」
世界各地で芸術を楽しむうちに、ファンクラブの仲間はオリジナルのお気に入りの「儀式」を考えて自分たちの興味を表現するようになった。それがイラストステッカーだ。

ファンクラブのリーダー・恵美の娘がオリジナルで王文志の顔を描いてくれたイラストは、デザインのタッチが温かく、丸みを帯びた線で、とても面白みがあった。
その後、このイラストは円形のカラーステッカーとして印刷され、作品の公開や展覧のたびに持ち出されると、王の作品を支持する仲間は喜んで胸につけた。
ステッカーが登場するたびに、その場の雰囲気は一気に明るくなる。
「わ~、またこのステッカーね!」
「今回は前よりさらに可愛いんじゃない!」
みんなで歓声を上げて喜びながらステッカーを服に貼ると、写真を撮り合っては楽しむ。そして、前の展覧会ではどんなステッカーだったかと思い返すのだ。

2024年の和歌山で『閃耀之丘』の公開が始まった。
みんなで空中のドローンに向かって歓声を上げて写真を撮る。
日差しの下で一瞬、空もその喜びに包まれたようだった。
王文志は照れくさそうに笑いながらこう言った。
「いやあ。みんなありがとう。なんだか申し訳ないね。」
全く飾らない王は、いつもみんなに大きな男の子みたいな芸術家と言われ、親近感を漂わせている。
作品の開放感は、ひとりひとりに物語を作り出す。
王文志の妻・蔡美文はこう話す。
「作られてきた作品には単なる芸術の展示だけではない、温もりをもった空間のようなものがあります。人が足を留めて交流したくなるような、自分の物語を持ち込みたくなるような場所です。みんながそれぞれの物語を残していきますよ。」
これまで、作品の中で結婚の記念写真を取ったカップルもいれば、プロポーズをした人もいる。
さらに、僧侶一行が訪れて静かに座って瞑想し、心を平静に戻していたこともあった。
午後の陽光がふりそそぎ、その光は竹の間をいたずらに漂っている。
静かに横になってくつろぎ、そよ風と大地の抱擁を感じ取る人もいれば、子どもと転げまわり、竹の上でごろごろしながら嬉しそうに笑い声を上げている人もいる。
また、本を持ってきて、竹の編み目から差し込む光の下で読書にふけり、落ち着いた時間を楽しむ人もいる。
こうした光景は、作品がただの芸術としてではなく、人々の中に溶け込んで支え寄り添う様子を映し出していた。
竹編みの記憶、十年以上織り重なった美しさ

王文志はこう話す。「私の中では、『作品が友達を作る』感覚です。
時として創作というのは孤独でもあります。でも、みんな一緒だと愛情が湧いてきます。
作品の中で楽しそうに過ごす人たちを見ると嬉しくて、何より楽しい。私の作品は多くの人に来て参加してもらい、中に入って横になったり座ったり、見てもらえたらいい。みんなが来てくれると、私の励みにもなるんですよ!」

こうして2014年の『碧湖織屋』から早くも10年余りが過ぎた。
あのとき約束して碧湖で一緒に観賞した友人は、
今もなお、さまざまな国に訪れて異なる作品が展示された場所で再会している。
一枚のステッカーと新しい作品の開幕で、みんながまた集まる…
彼らは想像していなかっただろう。純粋に芸術を楽しむことで、まさか生活がここまで多彩で豊かなものに変わるとは。
芸術は画廊や博物館の中だけでなく、ひとつの行動であり、ひとつの旅である。
ある作品から次の作品へ、碧湖から小豆島へ、タイから和歌山へ――王文志の作品は世界への招待状となり、芸術の旅の中で、仲間たち自身の世界もより広く愉快なものに変わっていく。





コメント