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土地・竹・ピーナッツの香り――『CampBoo 竹夢・築夢』の作品より

  • 執筆者の写真: 王 文志|國際藝術團隊
    王 文志|國際藝術團隊
  • 2025年4月7日
  • 読了時間: 4分
 「王文志は、どこへ行ってもいつも『自分がもたらすことができるのは何か』を考えているように思います。心と竹を携え、各地を訪れては、人々を誘って一緒に木を植え、種をまき、木陰で涼み、実のりを楽しんでいます。この『種』とは、私たち皆でまき、共に創り上げるもので、王はこのような想いを持って毎回作品を制作しています。」

―王文志の妻兼アートディレクター・蔡美文



 2022年、王文志は花蓮(ファーリェン)県の玉里で作品『CampBoo 竹夢・築夢』(Bamboo Dream)を制作した。心に残っているのは、この年の作品が特別で、『CampBoo 竹夢・築夢』は美術館の隣でも大型国際芸術祭の展示でもなく、花蓮の地元ブランド『美好花生』の横の空き地に誕生したことだ。


2022 《CampBoo 竹夢。築夢》花蓮鳳林,臺灣
「CampBoo 竹の夢・夢を築く」2022、台湾花蓮鳳林

 開幕では小さな地元の市場が開かれ、音楽会の歌声が響き、そんな中で私たちは横になり、風が体を抜けていく感触を味わっていた。


外から聞こえる人々の話し声がのどかに感じられ、その場に身を委ねると、あたかも大地に包まれているようだった。裸足で横になり、静かに耳を傾け、空を見上げ、竹の感触を確かめる…久しぶりに力をぬき、大地に身を委ねる至福のひとときだった。


 『CampBoo 竹夢・築夢』は竹で編まれた小さな宇宙のようで、とても居心地がよくぬくもりを感じる空間である。


作品の中央に置かれた「ピーナッツ」の鉢植えは、5月になると可愛らしい小さな緑の葉が成長する季節を迎える。作品の端に座って中央を見つめると、まるで緑が竹の間から顔を出し、空へと伸びていくようで、驚きと美しさを覚えた。


小さなピーナッツの鉢植えは、このように思わず微笑んでしまうほど可愛く遊び心のある存在だ。




 『美好花生』は、花蓮県玉里の地元ブランドで、経営者は鐘順龍氏と梁郁倫氏の夫妻だ。故郷に戻り、両親からピーナッツの栽培・収穫・炒り方を習い、「ピーナッツ」の伝統と温かい味わいを受け継いでいる。


 『美好花生』を訪れると、人々は決まって出来立ての花生湯(ピーナッツスープ)を楽しむ。冬は熱々のスープで温まり、夏は甘くさっぱりとした冷製スープで涼をとる。


 鐘順龍氏と梁郁倫氏は、かつて台北で働いていて、鐘順龍氏はプロのカメラマン、梁郁倫氏は芸術展の企画に関わる仕事をしていた。しかし、2009年に二人は台北の仕事を辞めて故郷の花蓮県玉里に戻り、母親のピーナッツ農園を継ぐ決意をした。


 二人はピーナッツの栽培・収穫・乾燥・炒り方・製品開発まで、一から時間をかけて取り組み、お客さんに喜ばれるピーナッツバターやスープを作り出した。15年間でブログの運営も学び、インターネット販売をするなど、すべてゼロからのスタートだった。


 10年以上が経ち、現在『美好花生』はシンプルできれいな店舗を構え、毎日出来立ての美味しいスープを提供している。芸術活動への思い入れをブランドにも取り入れ、店の隣に温かみのある小さなアートギャラリーを設けて、芸術への情熱を灯し続けている。


ピーナッツブランド『美好花生』を経営しながら、展覧会を企画し、芸術を地元の人々と共有することで、花蓮・玉里の美しい風景にゆっくりと溶け込んでいる。




 王文志は次のように語る。「初めて鐘順龍さんと梁郁倫さんに会った時、不思議な感覚を受けました。どうして、彼らのような若者が私たちと同じように嘉義に戻って生活しているのかなと。二人は故郷(花蓮・玉里)へ戻りましたが、私たちとさらに違うのは、台北で良い仕事をしていたということですよ。二人はそれでも故郷に戻り畑を耕す選択をした。二人の姿は、若い頃の私たちを見ているような気がします。」


「CampBoo 竹の夢・夢を築く」2022、台湾花蓮鳳林
「CampBoo 竹の夢・夢を築く」2022、台湾花蓮鳳林

 妻の蔡美文もこう語る。


「私たちが二人のもとを訪れたとき、とても心地よく感じました。何か手助けをしたい、もっと関わりを持ちたい、私たちにできることはないか、と考えました。二人の『芸術を広めたい』という気持ちに私たちはとても感動しました。それに、王文志も台湾の東海岸であまり作品を作ったことがなかったので、何度か話し合ううちにこの作品が形となったのです。」



年輕時的王文志,攝於 1992 年,巴黎
年輕時的王文志,攝於 1992 年,巴黎

 この縁は、王と妻の蔡美文に、若い頃フランスから台湾へ戻った自分たちの姿を思い出させた。当時、王は10年にわたる試行錯誤を経て、ついに自分の創作語彙(スタイル)を確立した。藤・竹・木を素材に編み込みの技法で頭角を現し、少しずつ海外で評価されるようになった。その背景での出来事と想いはどれほどのものであったのか、他人には知る由もない。ところが、それから瞬く間に時は流れ、さらに数十年が経ち、王文志は『美好花生』の店内に座って楽しそうに花生湯(ピーナッツスープ)を飲みながらこう言った。




 二つの異なる人生の時間軸が、それぞれの時間の中でこの時ここで遭遇したみたいで、こうして『CampBoo 竹夢・築夢』が誕生した。


 これは喜び・感謝・祝福・そして継承の物語。より多くの人が花蓮の玉里を訪れて、美味しいピーナッツを味わい、芸術の美しさも重ねて感じてもらえることを願っている。


「CampBoo 竹の夢・夢を築く」2022、台湾花蓮鳳林、ワンとファンの皆さん
「CampBoo 竹の夢・夢を築く」2022、台湾花蓮鳳林、ワンとファンの皆さん

 
 
 

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王文志(ワン・ウェンツィー)
|国際チーム

アーティストのワン・ウェンツィーは、制作チームを率いて世界を旅し、「竹」を創作の媒体とし、異文化と融合・共創し、世界各地で作品を開花させてきた。
山や森がもたらす鼓動と豊かな生命力を畏敬の念をもって真摯に受け止め、美しい作品を通じ、自然の神殿へと昇華させて行くのである。

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